大気環境学会誌
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阪神大震災半年後の二酸化窒素汚染の調査結果と健康アンケートの調査結果との関係
後藤 隆雄西川 栄一中田 実久志本 俊弘瀬戸口 高明
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1996 年 31 巻 6 号 p. 303-315

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抄録

阪神大震災半年後に阪神間沿岸で2448箇所のNO2カプセル測定と, 同地域の1532名の健康アンケート調査を実施した。その結果以下の特徴があった。
被災地の東西道路, 国道43号や2号沿線が震災2ヶ月後と同様に80ppbを越えた高濃度地点が多かった。震災前には問題にならなかった阪神高速湾岸線の側道部分等においても, 一日当たり5千台のがれき運搬車両通過や持込みがれきの1割の焼却等によって60ppb以上の汚染地域が多くなった。
震災後, 身体の諸症状が悪くなったとアンケートに回答した者は25%に達した。
上記症状で呼吸器系症状が最も多く, 地域では西宮, 尼崎, 芦屋の順であった。
NO2測定と同居住地点で回答したアンケート人数は894人 (公害病患者会を除く) で, 0~100ppbの範囲では10ppb毎のNO2濃度と震災後の諸症状有訴率との間には危険率5%以下で有意な関係が成立した。同様の関係は, 震災後の呼吸器系疾患有訴率や18歳以上成人での諸症状有訴率との間でも成立した。

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