耳鼻咽喉科展望
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耳鼻咽喉科感染症に対するリン酸クリンダマイシン (CLDM) の基礎的・臨床的検討
大山 勝古田 茂花牟礼 豊福田 勝則花田 武浩島 哲也上野 員義松根 彰志村野 健三勝田 兼司大野 文夫昇 卓夫松永 信也森山 一郎出口 浩一
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1996 年 39 巻 6 号 p. 719-728

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抄録

耳鼻咽喉科領域の感染症30例にリン酸クリンダマイシン (CLDM) を投与し, 組織移行と扁桃炎を中心とする上気道感染症での治療効果を検索した。その結果, 扁桃組織へのCLDMの組織内移行率 (組織濃度/血清中濃度) は, 50-155.7%であった。耳漏中移行率は53%, 上顎洞粘膜への組織内移行率は, 35.2%であった。また, 各疾患有効率は, 急性扁桃炎で77.7%, 扁桃周囲炎, 扁桃周囲膿瘍, 急性咽頭炎, 咽頭膿瘍の各症例でそれぞれ100%であった。これら全症例30例の有効率は90%, 著効率は46.7%(14例) であった。さらに今回の検討では, 副作用の発現は全くみられなかった。以上の成績から, CLDMは耳鼻咽喉科領域の感染症の治療にとってきわめて有用で, 安全性の高い注射用抗生物質の一つと考えられた。

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