1997 年 26 巻 2 号 p. 513-518
Type Iアテロコラーゲンをグルタルアルデヒドで架橋したコラーゲンゲル平膜について、様々な分子量の溶質の透過性を調べた。現行の透析膜と比較すると、アルブミンが両者でほぼ同等に阻止されているのに対し、他の溶質ではコラーゲンゲル平膜が遥かに優れた溶質透過性を示し、コラーゲンゲルは透析膜として理想的な溶質透過性を持つことがわかった。そこでコラーゲンゲルの強度の増大および薄膜化を図るために、コラーゲン溶液を血漿分離膜により濾過することにより、その細孔にコラーゲンゲルを充填した複合膜を作製した。走査型電子顕微鏡による観察、閉塞濾過式および迷宮細孔モデルでの解析により、細孔内へのゲルの充填状態を検討した。充填膜の細孔内にはコラーゲン溶液より作製したゲル平膜と溶質透過性が同等である薄層のゲル充填層が存在することが確認され、本研究で用いた充填法の妥当性が示唆された。