昭和歯学会雑誌
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本学小児歯科外来における保隙装置についての実態調査
柳原 正恵梅澤 理絵子鎌田 未幾酒井 睦子山田 かしは山下 登井上 美津子佐々 竜二
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1997 年 17 巻 1 号 p. 34-40

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抄録

乳歯列期および混合歯列期に乳歯が早期喪失した場合, 喪失した空隙を保ち, 後継永久歯萌出余地を確保するため, 様々な種類の保隙装置が使用されている.今回著者らは, 昭和大学歯科病院開設以来18年間の保隙装置装着症例について調査・検討を行った.対象は昭和52年6月から平成7年3月までの18年間に, 本学小児歯科外来に来院し, 当科の診療システムにのって診療を行った小児6177名のうち, 保隙装置を装着した1030名であり, 保隙装置の総症例数は1494症例である。これらを, 6年ごとの3期間に分けて調査を行った.調査内容としては, 乳歯の喪失原因, 喪失年齢, 喪失部位, 保隙装置の装着時年齢, 保隙装置の種類, 装着後の不快事項, 不快事項の初発時期などであり, 以下の結果を得た.1) 乳歯の喪失原因の多くは齲蝕であったが, 最近は外傷による喪失が増加傾向を示していた.2) 乳歯の喪失年齢は5歳が最も多く, また保隙装置装着時年齢は6歳が最も多かった.3) 喪失部位は下顎では片側臼歯が最も多く, 上顎では前歯部および片側臼歯が多かった.4) 保隙装置の総症例数は1494症例で, そのうち可撤保隙装置が48.6%と最も多く, ついでCr-Loop, Band-Loopがあわせて35.0%, Lingual Archが13.4%の順であった.5) 不快事項の初発時期は, 装着後5か月以内に多くみられた.

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