1997 年 10 巻 1 号 p. 17-21
骨格系の代謝の基本は破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成の繰り返しである。これらの細胞は全身性因子の統御の下,様々な局所因子を分泌しauto-crine/paracrine 的に互いの機能調整を行っている。
本稿では,その広範な生理的役割が注目されている一酸化窒素 (NO) が骨組織における強力な局所メディエータであることを支持する最近の研究成果を紹介した。とくに,成長期ラットの骨発育においてinducible型のNO合成酵素活性が重要な役割を果たすことを証明したわれわれの研究について詳述した。最後に,NOの骨代謝調節機構を対象とする研究の将来の方向性に触れた。