1997 年 26 巻 3 号 p. 749-751
皮下留置を目的としたグルコースセンサーの抱える最大の問題点は、タンパク質や細胞など吸着による応答電流の変化である。グルコースの酸化反応を断続的に行い、濃度勾配の小さい状態で測定すれば、吸着の影響を小さく抑えて定量できると考えた。本研究では、ウシ血清アルブミンとフェロセンカルボキシアルデヒドの結合体をメディエーターとしたグルコースセンサーを用いた。印加電位をパルス的に変化させることで反応を断続的に行い、非定常状態の応答電流とグルコース濃度の相関を求めた。反応初期の非定常状態では、拡散が律速ではなかった。また、非定常状態のグルコース酸化電流はグルコース濃度に依存した。これらの結果より、本センサーを用いて反応をON-OFF制御しながらの測定が可能であることが示唆され、長期利用の可能性が見いだされた。