日本乳癌検診学会誌
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問診視触診による乳癌集団検診における中間期乳癌の特徴
田口 哲也太田 潤堀野 俊男坂田 哲啓宮本 峯豪中本 博士井上 共生芝 英一高井 新一郎田口 鐵男
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1996 年 5 巻 1 号 p. 59-67

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抄録

大阪府がん登録と照合して問診視触診による乳癌集団検診 (集検) 受検者の中から中間期乳癌と集検発見乳癌を割り出し, 臨床, 病理および予後について比較検討した。1981年から1988年までの受検者15,385人中, 中間期乳癌は15人 (0.1%), 集検発見乳癌は37人 (0.24%) であった。
問診事項では, しこり自覚の有無が中間期乳癌と集検発見乳癌を分ける重要な項目であり, 受検者の自己検診による正しい自覚の必要性が示唆された。
臨床所見・画像診断・病期・病理組織診には中間期乳癌と集検発見乳癌の間に有意差を認めなかった。また, 同時期の外来発見乳癌とも差を認めなかった。
累積生存率では中間期乳癌, 集検発見乳癌, 外来発見乳癌の間には差はなかったが, 集検後1年以内の中間期乳癌より集検後1年から2年の間に発見された中間期乳癌は予後不良で, 問診視触診による乳癌集検では毎年の受検を奨めることが望ましいと考えられた。

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