日本歯周病学会会誌
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ヒト歯肉線維芽細胞のDNA合成および細胞外基質蛋白合成に及ぼすTNF-αの影響
樋口 豊滝川 雅之新井 英雄鷲尾 憲文大江 丙午西村 英紀清水 秀樹野村 慶雄高柴 正悟村山 洋二
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1997 年 39 巻 2 号 p. 264-272

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抄録

腫瘍壊死因子 (TNF) -αは, 初期の炎症反応として産生される炎症性サイトカインのひとつで, 炎症病巣の成立に関与していると考えられている。我々は, 歯肉結合組織におけるTNF-αの役割を理解するために, ヒト歯肉線維芽細胞のDNA合成, コラーゲン合成, および非コラーゲン蛋白合成に対するTNF-αの作用を, 線維芽細胞自らが産生するプロスタグランジン (PG) E2, および血小板成長因子 (PDGF) のオートクラインな影響を考慮して調べた。
結果は以下の通りである。
1) TNF-αはヒト歯肉線維芽細胞におけるDNA合成, コラーゲン合成, および非コラーゲン蛋白合成を促進した。2) TNF-αはヒト歯肉線維芽細胞におけるPGE2産生を著明に促進した。3) インドメタシンを用いてPGE2産生を阻害することにより, TNF-αがヒト歯肉線維芽細胞におけるDNA合成, コラーゲン合成, および非コラーゲン蛋白合成を促進する効果を増強した。4) TNF-αはヒト歯肉線維芽細胞におけるPDGF-A鎖mRNAの発現を促進した。
以上の結果から, TNF-αはヒト歯肉線維芽細胞のDNA合成および細胞外基質蛋白合成に対し促進的に作用することが明らかとなった。また, これらの作用は, TNF-αが産生を誘導するPGE2によって抑制を受けていた。さらにTNF-αがDNA合成を促進する作用には, 内因性PDGFが関与している可能性が示唆された。

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