日本救急医学会雑誌
Online ISSN : 1883-3772
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致死的急性硬膜下血腫の特徴および治療限界
減圧開頭術中に急性脳腫脹を来した症例から
前川 正義諌山 和男玉置 智規佐藤 秀貴益子 邦洋大塚 敏文
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1997 年 8 巻 9 号 p. 369-375

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抄録

急性硬膜下血腫(ASDH)の外減圧術中に著明な脳腫脹を来した13症例をもとに,致死的ASDHの治療限界について考察した。術前のGCSは3-4点7例,5-8点6例,瞳孔は散大4例,不同8例だった。CTで10例が脳挫傷や外傷性クモ膜下出血(T-SAH)を伴い,10例は脚間槽が描出されていなかった。手術は受傷後平均2時間41分で開始された。術後は適宜,低体温療法やバルビツレート療法を導入した。12例は平均5.2日目に死亡した。2歳女児の1例は神経脱落症状を残すことなく退院した。CTで脚間槽が描出されない,またT-SAHで脳底槽が充満しているASDHはきわめて救命困難であるが,小児例は積極的治療の対象とすべきである。

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