一酸化窒素 (NO) は多彩な生理活性を有するガス状ラジカルであり,ここ10年の間きわめて精力的な研究が展開されてきた。われわれは,小児におけるNOの生理学的・病態学的意義を明らかにするために,尿中の一酸化窒素代謝物濃度を指標として以下の臨床的研究を行ったので,その成果を紹介する。(1)正常小児における内因性NO産生の評価,(2)川崎病,気管支喘息の患者におけるNO産生の評価,(3)インスリン,L-アルギニンのNO合成系への作用に関する研究がその内容である。小児の病態生理においてNOがいかなる役割を果たしているのか不明のところが多く,今後の研究が期待される。