日本呼吸器外科学会雑誌
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大腸癌肺転移と悪性度
大塚 浩史船井 貞往橋本 幸彦西 耕作廣畑 健原 聡安富 正幸
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1998 年 12 巻 2 号 p. 107-114

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抄録

大腸癌肺転移の経過と予後の解析におけるDNA ploidy pattern, S phase fraction (SPF) の有用性を検討した.大腸癌術後肺転移23例の原発巣と肺転移巣の核DNA量をHow cytometerを用いて測定した.DNA diploidyを示した癌のSPFは原発巣 (7例), 肺転移巣 (6例) で各々10.5±5.7%, 9.4±5.5%であり, DNA aneuploidyを示した癌のSPFは原発巣 (11例), 肺転移巣 (17例) で各々24.0±8.3%, 23.9±8.3%であった.SPFからみた増殖活性は原発巣, 肺転移巣の間で有意差はなかった.原発巣と肺転移巣のDNA ploidy patternは18例中15例で一致し, SPFは直線的相関関係を示した.DNA aneuploidyでは原発巣と肺転移巣のSPFは肺再発までのdisease-free interval (DFI) と逆相関関係を示し, SPFはDFIと関係する有用な指標である.肺転移巣切除後の予後は, 原発巣リンパ節転移, 肺転移個数, 肺門縦隔リンパ節転移と有意な関係を認めたが, DNAploidypattern, SPFと関係しなかった.

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