人工臓器
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再生セルロース透析膜の表面粗さが抗血栓性に与える影響
角田 奈々絵小外保 謙一酒井 清孝福田 誠宮崎 誠日吉 辰夫
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1998 年 27 巻 2 号 p. 475-479

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抄録

透析膜の血液適合性については、これまでに膜材質の違いに着目した多くの研究がある。しかし、血液適合性は、これら膜材質の違いだけではなく、膜表面での流動状態の影響も受けると考えられる。そこで、膜表面粗さの異なる5種類の膜を用い、ウシ血液を用いて血小板粘着量を測定することにより、膜表面粗さと抗血栓性を評価した。まな、ビンガム流体であるPMMAのglycerolサスペンションを用い、その流動特性である降伏値を測定した。膜表面の粗い膜では血小板粘着量が多く抗血栓性が劣り、膜表面が滑らかな膜ほど血小板粘着量が少なく抗血栓性に優れた。これらの膜について、それぞれ降伏値を測定したところ、膜表面構造の粗い膜では降伏値が大きくなり、PEGでグラフトされた麺の滑らかな膜では降伏値が小さくなった。このことから膜表面の粗さは抗血栓性に影響を与えることが示唆された。

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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