1998 年 40 巻 2 号 p. 226-232
今までブラッシングマシーンは主に歯磨剤の歯や歯冠修復材料の摩耗性に関する基礎的研究に用いられてきた。その運動の大部分は水平運動と振動であり, しかも実際のブラッシング法とは必ずしも一致していない。そこで今回我々は, 最近開発したブラツシングマシーンの再現性について, まずスクラッビング法のプラーク除去効果をもとに比較検討した。
ブラッシングシミュレーターに入力するデータを得る目的で, 本学保存科医局員10名を被験者とし, 2種の試作歯ブラシ (AおよびB) を用い, 著者らの方法に準じ, 臨床実験を行った。 得られたデータをブラッシングシミュレーターに入力し, 顎模型® (D15 D-500H, (株) ニッシン, 京都) 上で上顎左側中切歯部に人工の染色剤を塗布し, ブラッシングシミュレーター上で, 臨床実験と同じ試作歯ブラシを用いブラッシングを行わせ, 同様にプラーク除去率を算出した。 プラーク除去率は, Aの歯ブラシでは臨床実験上77.9±19.4%, ブラッシングシミュレーター上92.1±4.2%であり, Bの歯ブラシでは同様に92.4±18.0%, 90.4±3.4%であった。 以上の結果より, 今回のブラッシングシミュレーターは, ブラッシング圧の規定, 入力範囲の設定などを考慮すれば, 再現性は期待でき, ブラッシングマシーンとしての有用性はあると考えられる。