AUDIOLOGY JAPAN
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スペックル干渉法を応用した新しい計測システムによるモルモット鼓膜の振動モード解析
和田 仁小林 俊光朴沢 孝治小池 卓二高坂 知節
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1998 年 41 巻 4 号 p. 296-303

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抄録

現在, 中耳疾患の診断には, 耳鏡による視診やインピーダンスメータが用いられているが, 鼓膜の微小な振動様式を定量的に計測することが出来れば, 中耳に関するより多くの情報を得ることができるようになり, 診断結果の信頼性も向上すると考えられる。これまでに鼓膜振動様式を計測するために用いられてきた方法は, 計測に過大な入力音圧を要し, 位相情報が得られず, 臨床応用には不向きであった。そこで本研究では, 電子式スペックル干渉法と参照光正弦波位相変調法を併用した鼓膜振動挙動計測システムを開発し, モルモット鼓膜の振動挙動計測を行った。その結果, 微小振動を高感度に計測でき, 小さい入力音圧でも鼓膜振動振幅と位相を計測できた。今後, 鼓膜面から十分な反射光が得られるレーザまたは人体に無害な反射補助物質が開発されれば, 本システムの臨床応用可能性は極めて高いと考えられる。

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© 日本聴覚医学会
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