日本口腔腫瘍学会誌
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口腔癌の頸部リンパ節転移に対するCTおよび超音波断層法の診断手順および診断能
湯浅 賢治河津 俊幸神田 重信
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1998 年 10 巻 4 号 p. 288-296

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抄録

〔目的〕口腔癌の頸部リンパ節転移に対するCTおよび超音波断層法による画像診断の手順を示すとともに, 画像診断では判定不能である場合も考慮した診断基準とその診断能について検討することを目的とした。
対象および方法: 手術所見・病理組織所見と画像との対応ができた腫大リンパ節を有する口腔扁平上皮癌147例 (173側) を対象とした。
CTについては, リンパ節の検出能および転移・非転移リンパ節の各造影所見の出現頻度および短径の分析を行った。超音波断層法については, 各内部エコー所見の出現頻度および長径, 短径, 長短径比の分析を行った。
結果: 摘出された転移リンパ節のうち約10%は, CT検査では腫大リンパ節としての存在すら見逃されていた。不均一な造影所見またはrim-enhancementを呈したリンパ節の割合は, 転移リンパ節では, 50.9%, 非転移リンパ節では4.5%であった。
超音波所見においては, 転移リンパ節では, 強いparenchymal echoeを有する場合が最も多く, 56.9%に認められた。非転移リンパ節では, 強いparenchymal echoを持たず, hilusを有する場合が最も多く, 66.5%に認められた.強いparenchymal echoおよびhilusを有しないが短径1.0cm以上または長短比3.5以上であったリンパ節の割合は, 転移リンパ節ではそれぞれ27.4%, 1.5%であり, 非転移リンパでは3.0%, 13.5%であった。
〔結語〕「転移である」または「転移でない」のどちらかを選択する二者択一的な診断基準ではなく, 画像上では判定不能とする基準も設けた本研究の診断基準は限界はあるものの, これまでの診断基準に比べより臨床的であろうと考える。

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