日本呼吸器外科学会雑誌
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気道軟骨の構造特性に及ぼすCDDPの影響
岡本 卓前田 昌純劉 大革林 栄一亀山 耕太郎杉田 礼典中島 尊桝屋 大輝中元 賢武宮武 明
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1999 年 13 巻 4 号 p. 510-518

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抄録

家兎を用いて化学療法の基剤, CDDPが気管軟骨に及ぼす影響を検討した.物理的指数はクリープメーターによる圧縮破断テストでの降伏点応力Sを計測, 生化学組成は, Ca, Hyp, 粘液多糖のGAGとその糖鎖のGlc, それらの関連アミノ酸, Va1, 水分量を定量した.
1~118週齢家兎, 29羽で予備実験を行いそのCa量の安定は27.5週以後のC期であることを確認, 実験群 (n=28) は29週齢に固定した.
応力Sは, CDDPの常用量に相当するexp4群 (1.6~2.2mg/kg) で有意に低値を示した (p<0.05).SはCDDP量依存性を示した (Y=-0.123X+1.96, p<0.03).CDDP投与でGAG, Hyp, Ca量, 水分量に変化はなかったが, Glc, Valは有意の正相関 (Y=0.037X+0.248, p<0.03, Y=0.124X+L29, p<0.01), またSとは負の相関を示した (Y=e-1.55x+1.33, p<0.01, Y=-0.32X+2.40, p<0.05).
CDDP投与は, 軟骨マトリクスの組成を変化させ, 抗張力を低下させる可能性が示唆された.

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