日本歯周病学会会誌
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口臭を主訴とする患者の口腔内気体中の揮発性イオウ化合物濃度と臨床状態との相関
瀬戸口 尚志牧野 文子亀山 秀和瀬戸 康博四元 幸治和泉 雄一末田 武
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1999 年 41 巻 3 号 p. 302-311

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抄録

口臭を主訴とする患者194名の口腔内気体中の硫化水素 (H2S), メチルメルカプタン (MMP), 硫化ジメチル (DMS) の3種の揮発性イオウ化合物 (VSC) 濃度のガスクロマトグラフによる測定, 官能試験による口臭スコア, 舌臭スコア, 鼻臭スコアの評価を行った。さらに臨床診査として, 舌苔量, プロービングデプス (PD), 歯肉炎指数 (GI), プラークインデックス (PII) の評価を行い, それらの関連をピアソンの相関係数および重回帰分析により検討した。3種のVSCは全て各ニオイスコアと有意の正の相関を示したが, 口臭スコアや舌臭スコアに比べて鼻臭スコアとの相関は低かった。重回帰分析の結果では, 口臭スコアや舌臭スコアに対しては, 3種のVSCの中でMMPのみに有意性が認められ, 鼻臭スコアではいずれのVSCにも有意性はみられなかった。各臨床診査項目と各VSC濃度間あるいは各ニオイスコア間にはすべてに有意の相関がみられたが, 重回帰分析の結果ではH2S濃度には舌苔量とGIの, MMP濃度には舌苔量とPDおよびGIの, DMS濃度にはPDと舌苔量の関与が示唆された。また, 口臭スコアに対する各臨床項目の影響は舌苔量, GI, PD, PIIの順に大きかった。口臭スコアとVSC濃度間に有意の相関がみられたことよりVSC濃度の測定は口臭検査において有用と思われた。また, 口臭に対しては舌苔の関与が大きいことが明らかとなったものの, 歯周疾患の関与も示唆された。

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