日本栄養・食糧学会誌
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閉経期日本人女性における腰椎骨密度の5年間の減少に対する関連因子
小板谷 典子塚原 典子江澤 郁子
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1999 年 52 巻 5 号 p. 307-313

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抄録

閉経期女性における腰椎BMDの5年間の減少に対する関連因子について, 閉経状態別に検討することを目的とした。東京都在住の40-60歳女性287名を閉経状態により閉経前: PRE群, perimenopause から閉経後3年まで: PERI群, 閉経後4年以上: POST群の3群に分け, 各群ごとにBMDの5年間の変化率と関連する因子について初回時点での年齢・BMD・BMIを調整して検討した。
1) PRE群では, 初回・5年後とも運動習慣を有していた者, 初回時点でカルシウムを800mg以上摂取していた者において, BMD減少率は有意に小さかった。
2) PERI群では, BMD変化率は体重・BMI・除脂肪体重の変化率および初回時体脂肪率と有意な正の相関を示し, 初回時除脂肪体重と負の相関を示した。一方, 運動習慣やカルシウム摂取との関連は認められなかった。
3) POST群では, BMD変化率は体重変化率と有意な正の相関を示したほか, カルシウム摂取量が初回・5年後とも600mg以上であった者ではBMD減少率が有意に低値であった。
以上より閉経前, perimenopause から閉経後3年, 閉経後4年以上の各時期でBMD減少率に影響を及ぼす因子が異なることが示され, 閉経の時期に応じた生活指導が必要であると考えられた。

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