筆者らは旋回渦流型血液ポンプの血栓形成や溶血に対する性能に優位性を示してきている。このポンプでは流出側の流れも旋回しているため同部位での弁選択は従来の単なる水力学的特性に加えて新たな規準が必要と考えられる。本研究ではまず基礎的検討として4種の人工弁を同ポンプの流出側に設置してin vitroで各弁の圧力損失を比較した。その結果, 弁葉の回転が可能なJyros弁の優位性が示唆された。さらに高速ビデオカメラによる解析の結果, 弁葉の回転は弁閉鎖開始の直前から生じ, 弁葉が回転しないように固定した場合に比べて圧力較差が有意に低下することが認められた。このように同弁における弁葉回転と圧力損失の関係を明示することができた。