人工臓器
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高分子製人工弁の加速耐久試験法確立に向けての力学的検討
岩崎 清隆梅津 光生井街 宏藤本 哲男
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2000 年 29 巻 2 号 p. 489-495

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抄録

高分子製人工弁の加速耐久試験法はISOでもまだ確立されていない.そこでまず, Jellyfish弁の慢性動物実験で確認された弁葉破断部位を加速試験で再現できるような試験方法を検討することで, 信頼性のある加速耐久試験方法の確立を目指した.力学的な背景から, 弁閉鎖時の最大荷重および水温に着目して実験を行った.弁閉鎖時の最大荷重が標準的な拍動時の1/2の条件では, 作動流体の温度を40°Cから60°Cに上げても慢性動物実験で確認された弁葉破断部位を再現できなかった.しかし, 弁閉鎖時の最大荷重が標準的な拍動時の1/4の条件では, 水温を60°Cと高温に設定することではじめて慢性動物実験で確認された弁葉破断部位を再現することに成功した.したがって, 高分子製人工弁の加速耐久試験では, 弁閉鎖時の最大荷重および水温は最重要設定項目であることが判明し, さらに, 弁閉鎖時の最大荷重を下げ, 水温を上げることが重要であることがわかった.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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