2000 年 44 巻 1 号 p. 15-19
グリシンを用いた非還元型PAGE後のゲル内ALP活性を高感度に検出するために, グリシンおよび亜鉛の影響を活性染色で調べた. 192mMグリシンを用いた電気泳動後のゲル内ALP活性は, ホウ酸を用いた時の半分に減少した. これに対して, グリシン緩衝液にZn2+を事前添加すると, 電気泳動後の酵素活性は亜鉛の濃度に依存して増加し, 1mMで最大となり, ホウ酸を用いた場合と同等かそれ以上になった. しかし, 泳動試料中あるいは酵素活性染色液中にZn2+を添加しても再活性化は起こらなかった. また蛋白質に結合した65Znはグリシンを用いた電気泳動で遊離し, ゲル内を陽極に移動した. グリシンの錯体形成能力は, 200mMグリシンに対し0.1mM以上のZn2+で消失することが, ECBTを用いた実験で明らかになった.