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皮膚悪性黒色腫頭蓋内転移2症例
山下 史朗守山 英二別宮 博一岩戸 英仁柳井 広之
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2000 年 54 巻 8 号 p. 365-369

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抄録

悪性黒色腫頭蓋内転移2症例を報告する. 2症例とも原発性皮膚悪性黒色腫の60歳台の男性で, 頭蓋内病変は, 悪性黒色腫に特徴的なMRI所見(T1WIで高信号域, T2WIで低信号域, Gd-DTPAで造影される)を呈した.
治療はCDDP, ACNUの動注化学療法とそれに続く摘出術とγ-knifeを施行した. 症例1は, 動注化学療法施行後約40時間で腫瘍内出血をきたし, 開頭腫瘍摘出術を施行し, 症例2は, 動注化学療法翌日に開頭による腫瘍全摘出術を施行した. 症例1は, 治療から2ヵ月, 症例2は3ヵ月で全身転移のため死亡.
悪性黒色腫は, 脳を含む全身臓器に転移し, きわめて予後不良である. そのため, 治療の目的は, QOLの維持が主体となり, 慎重な治療法の選択が望まれる. 一方, 頭蓋内悪性黒色腫は自然経過中にもしばしば出血をきたすことが知られており, また, 症例1のように治療行為が腫瘍内出血の危険を増すと思われることもあり, 注意が必要である

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© 一般社団法人国立医療学会
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