日本顎関節学会雑誌
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顎関節に開口痛を有する患者の開口位矢状断MRI所見
林 孝文伊藤 寿介小山 純市小林 富貴子
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2000 年 12 巻 2 号 p. 223-226

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抄録

目的: 顎関節に開口痛を有する非復位性関節円板前方転位症例の開口位の矢状断MRIを検討し, 開口痛と関連するMRI所見を明らかにする。
対象と方法: 1998年8月より1999年9月までの間に顎関節部MRI検査を施行し, 左右いずれか片側に非復位性関節円板前方転位を認めた50症例の50関節。開口痛は検査前後に開口時の顎関節部の痛みの有無を問診した。プロトン密度強調画像による開口位矢状断MRI上, 肥厚した円板後部結合組織が, 骨変化を来し辺縁が不整化した下顎頭により, あたかも突き刺されるように圧縮される状況が開口痛の原因と推測し, これを画像“thrusting sign”として評価した。
結果: “thrusting sign”を認める20関節すべてに開口痛を認め, “thrusting sign”を認める関節で開口痛を認めないものは無かった。“thrusting sign”を認めない30関節では, 開口痛を認めるのは7関節で認めないのは23関節であった。開口痛の有無と“thrusting sign”の有無との間に, 統計学的に有意な関係を認めた。
結論: 非復位性関節円板前方転位症例では, 開口位矢状断MRI上での“thrusting sign”は開口痛の特徴的な所見と考えられた。

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