2000 年 14 巻 5 号 p. 666-671
気管全長と右主気管支に渡る広範な結核性瘢痕性狭窄に対し, 段階的に拡張術を行い, 狭窄の改善を認めた.症例は33歳女性, 次第に増悪する多発性の気道狭窄に対し, まずV-V ECMO下に気管切開, 気道内チューブによる段階的な拡張を行った後に狭窄部のレーザー焼灼を施行し, 気切チューブを留置した.後に右主気管支入口部の狭窄に対しては, 気管支鏡下にPTA用バルーンを用いて計3回の拡張術を施行し, 狭窄の改善をみた.その後気管切開孔よりTチューブを挿入し, 現在外来通院中である.広範な気管.気管支狭窄に対する治療は難渋することが多いが, 手術時の手技や麻酔, 術後管理等を工夫することにより安全に治療を行うことができると考えられた.