2001 年 54 巻 4 号 p. 259-262
患者は75歳,男性.下腹部痛を契機として来院された.注腸検査にて,S状結腸に最大径5cmの腫瘤を3個認めた.大腸内視鏡検査で,S状結腸に易出血性,赤色腫瘤を認めた.生検では腺腫であり良性腫瘍と考えられたが,腫瘍径が大きいためS状結腸切除を施行した.肉眼的にS状結腸粘膜面に3分葉からなる腫瘤を認め,それぞれは直径1.5cmの亜有茎隆起で表面にびらんを伴っていた.病理組織学的には,大腸の粘膜下層から粘膜にかけて大小種々の腔からなる血管の増生を認め,大腸血管腫と診断された.