日本臨床外科学会雑誌
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乳癌術後tamoxifen投与中に大きな子宮内膜ポリープと対側乳房Paget病を併発した1例
長田 裕典寺石 文則森 直樹濱田 円岡林 孝弘西岡 豊市川 純一堀見 忠司
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2000 年 61 巻 10 号 p. 2605-2608

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抄録

患者は71歳女性,主訴は右乳頭部びらん. 2年前の左乳癌術後からtamoxifen (TAM)の内服治療を行い通院中であった. 1998年8月頃より右乳頭部びらんを認め,皮膚生検にてPaget病と診断し乳房切除術施行.また婦人科検診にて最大径4.0cmの大きな子宮内膜ポリープが発見され子宮内容除去術施行した.乳癌術後の補助療法として広く使用されているTAMの長期投与によるエストロゲン作用が子宮内膜の増殖状態を持続させ,内膜ポリープや子宮内膜癌などの発生を高めることが知られている.一方対側乳癌の発生頻度を有意に低下させるとの報告もある.今回経験した症例は初回乳癌術後2年間TAMを投与中に,対側乳房のPaget病,および子宮内膜ポリープの発生をみた.本症例のPaget細胞のER免疫染色は陰性であった. TAM投与中は投与期間や量にかかわらず対側乳房の観察や,婦人科的検査は行われるべきである.

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