日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌組織における肥満細胞浸潤の臨床病理学的意義について
腫瘍血管新生との関連から
西島 弘二西村 元一太田 哲生井口 雅史林 智彦安居 利晃二宮 致伏田 幸夫藤村 隆清水 康一三輪 晃一
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キーワード: 大腸癌, 肥満細胞, 血管新生
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2001 年 54 巻 1 号 p. 18-23

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抄録

大腸癌178例を対象としてトルイジンブルー染色を行い,大腸癌周辺に浸潤する肥満細胞を同定し,その浸潤程度と臨床病理学的因子との関連について検討を行った.また腫瘍新生血管を特異的に同定できる抗endoglin抗体を用いた免疫組織化学染色により新生血管を同定し,その多寡との関連についても検討した.stage III以上ではstage II以下に比べ,また壁深達度ではSS,a1より深くなると,浅いものに比べ肥満細胞浸潤は有意に高度であった.脈管侵襲,組織型では肥満細胞の浸潤程度に差を認めなかった.壁深達度ss,a1以上の症例について転移との関連について検討すると,肝転移陽性例,リンパ節転移陽性例で,肥満細胞浸潤は有意に高度であった.また肥満細胞高度浸潤群では,endoglin高度発現例が有意に多く,血管新生との関与が示唆された.以上より,肥満細胞の浸潤は大腸癌の進展,転移に関与している可能性が示唆された.

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