日本補綴歯科学会雑誌
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生体吸収性ポリ乳酸圧電膜を用いたGBR法の骨再生促進効果
大塚 英幸田中 久敏虫本 栄子千葉 昌一高橋 元千葉 晃猪苗代 盛昭
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2001 年 45 巻 1 号 p. 202-213

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抄録

目的: 本研究は, 生体吸収性で圧電性を有するポリ乳酸膜 (poly-L-lactic acid, 以下, PLLA) を用いた骨誘導再生法が人工的骨欠損部の再生に及ぼす効果を病理組織学的に検索し, Gore-Tex Augmentation material (GTAM®) および圧電性を有しないポリ乳酸膜 (polylactic acid, 以下, PLA) の効果と比較検討することを目的とした.
方法: 実験には, 生後13~15週齢のWistar系雄性ラットを使用し, 直径2.0mmの骨窩洞を右大腿骨に形成した. 骨窩洞は, 実験A群ではGTAM®, B群では圧電性を有しないPLA, C群では圧電性を有するPLLA (分子量10万), D群では圧電性を有するPLLA (分子量30万) で被覆して囲続結紮した後, 軟組織で覆い縫合した. 実験期間は2週, 4週とし, 屠殺後, 硬組織研磨標本により病理組織学的観察を行った.
結果: C, D群はA群に比較して早期より骨形成と成熟化が促進されていた. 特に, D群で新生骨の形成が窩洞全体に著明にみられ皮質骨全体の厚みを増し, 成熟度も高く, 既存皮質骨と同化していた. A群の骨再生はB群と同程度であり, 各実験期間でC, D群より劣っていた. またPLLAは皮質骨の上に望ましい形態を得るための賦形性に優れていた.
結論: PLLAはGTAM®に比較して骨再生促進効果に優れ, 骨誘導再生法により有用であることが示された.

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