小児歯科学雑誌
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先天性全身性リポディストロフィーの1例
島村 和宏金子 實齋藤 高弘鈴木 康生
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2001 年 39 巻 1 号 p. 270-275

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抄録

先天性全身性リポディストロフィー(Congenital Generalized Lipodystrophy; CGL)は,常染色体劣性遺伝による,全身性の皮下脂肪組織の萎縮および消失を特徴とするきわめて稀な疾患である.全身所見として,身体の成長促進,多毛症,皮膚の色素沈着,インスリン抵抗性糖尿病が認められる.病因は未だ不明であり,根本的治療法もない.
今回著者らは,長期にわたり歯科的管理を行ってきたCGL患者の口腔内状態およびその経年的変化について報告する.
本症例に認められた口腔内所見は以下の通りであった.
1.永久歯歯胚の早期石灰化および早期萌出
2.永久歯のエナメル質石灰化不全
3.歯列および咬合の異常
4.歯周疾患
5.口唇肥厚
6.巨大舌および溝状舌
7.口蓋垂裂
8.口蓋扁桃肥大およびアデノイド
永久歯列が完成するころから,歯肉炎が顕著となった.パノラマエックス線写真より,歯槽骨が徐々に吸収していくのが観察された.また歯の動揺も認められ,増齢とともに歯周炎が進行した.

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© 一般社団法人 日本小児歯科学会
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