日本呼吸器外科学会雑誌
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アスペルギルス感染により二次的に空洞が形成されたと考えられる, 原発性肺アスペルギローマの一手術例
石山 貴章大和 靖土田 正則渡辺 健寛橋本 毅久林 純一梅津 哉
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2001 年 15 巻 2 号 p. 140-145

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抄録

症例は19歳男性.自覚症状は無く検診で左中肺野に異常影を指摘された.胸部CTで空洞内に可動性の球状物を認め, 血清沈降抗体反応陽性より肺アスペルギローマと診断した.抗菌剤治療で画像上の改善を認めないため, 左S6区域切除およびS1+2c部分切除を施行した.病理学的に拡張した気管支からなる空洞とアスペルギルス菌よりなる菌塊を認めた.従来肺アスペルギローマは, アスペルギルス菌体が既存の肺内空洞病変に腐生的に定着, 増殖したものと言われてきた.しかし近年, 既存の肺病変を持たない`原発性肺アスペルギローマ'とも言うべき病態が報告されている.本症例は, 病理所見よりアスペルギルス感染が先行し, 二次的に気管支拡張による空洞を形成した原発性肺アスペルギローマであった可能性が示唆されたので報告する.

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