日本補綴歯科学会雑誌
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高齢者および要援護高齢者にかかわるブリッジ数と有床義歯数の将来推計の試み
金谷 貢渡辺 孝一宮川 修
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2001 年 45 巻 2 号 p. 227-237

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抄録

目的: 本研究ではブリッジと有床義歯に関する教育, 研究および臨床の将来計画立案の-助とするために, 将来使用されるそれら補綴物数の推計を試みた.
方法: 研究対象は65歳以上の高齢者および要援護高齢者とした. 将来における一人平均のブリツジ数と有床義歯数を歯科疾患実態調査報告をもとにした単純回帰分析より推定した. 回帰分析においては, 推定回帰線の交差および上限に対する補正を加えた. 推定された一人平均のブリッジ数, 有床義歯数, および将来推計人口から, 将来使用される補綴物数を予測した.
結果: 高齢者が使用するブリッジと有床義歯の総数は, 今後20年間で2.0倍 (2.2~1.1倍, 95%信頼区間より算出) と1.5倍 (1.8~1.0倍) にそれぞれ増加し, その後10年間は両者ともにほぼ一定で推移すると推定された.ブリッジ数と有床義歯数の増加率はともに年齢階層が高くなるほど大きくなっていた. また, 要援護高齢者が必要とするブリッジと有床義歯の総数は, 今後25年間で2.7倍 (3.2~1.0倍) と1.8倍 (2.2~1.0倍) にそれぞれ増加すると推定された.
結論: 以上より, 高齢者および要援護高齢者を対象としたブリッジあるいは有床義歯に関する教育, 研究および臨床はこれまで以上に必要性が増してくると考えられた.

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