日本小児腎臓病学会雑誌
Online ISSN : 1881-3933
Print ISSN : 0915-2245
ISSN-L : 0915-2245
原著
学校検尿で発見された抗好中球細胞質myeloperoxidase抗体 (MPO-ANCA) 関連腎炎の小児例
神田 貴行三浦 真澄嘉戸 摂岡田 晋一深澤 哲宇都宮 靖笠置 綱清神崎 晋
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 14 巻 1 号 p. 27-31

詳細
抄録

 私たちは,MPO-ANCA関連腎炎の病初期の経過を知る上で貴重と思われる症例を経験したので報告した。症例は15歳男児で,7歳のとき学校検尿で蛋白尿と血尿を指摘されたが,9歳から尿所見は正常化していた。平成11年4月 (13歳) の時に学校検尿で再び同様の異常を指摘され当科に紹介された。初回腎生検では5個の糸球体のうち1個に分節性硬化像を認めた。抗血小板剤で経過を見ていたが,平成12年4月より急激に尿蛋白が増加,血清Cr値が上昇した。この時MPO-ANCAが高値であるのに気づかれ,同年5月再腎生検を施行した。その結果7/9個の糸球体に線維細胞性半月体を認め,pauciimmune型半月体形成性糸球体腎炎であった。MPO-ANCA関連腎炎の診断で,ステロイドパルス療法と経口PSL療法でMPO-ANCA値と血清Cr値は低下し,尿所見も改善している。学校検尿で蛋白尿,血尿を指摘された学童では積極的にANCAを測定すべきである。

著者関連情報
© 2001 一般社団法人 日本小児腎臓病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top