日本顎関節学会雑誌
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慢性関節リウマチの画像診断におけるMR画像の有用性
内山 百夏村上 秀明西山 秀昌笹井 正思古川 惣平
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2001 年 13 巻 2 号 p. 243-247

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抄録

目的: 慢性関節リウマチと診断され, 顎関節部に症状を有する者に, MR検査と従来のX線画像検査を施行し, MRIの本疾患における有用性を検討することを目的とした。
対象および方法: 整形外科にて血液学的および臨床的に慢性関節リウマチと診断され, 顎関節部に症状を認める患者6例を対象とした。症例はすべて女性で, 年齢は24~70歳 (平均49.8歳) であった。MR検査では, プロトン密度強調画像, T2強調画像およびT1強調画像を撮像した。X線画像検査として, パノラマX線撮影法, 側斜位経頭蓋撮影法および多層断層X線撮影法を施行した。各画像にて顎関節部の骨変化を評価し, MR画像では軟部組織変化も評価した。
結果: MR画像にて12関節中9関節にerosionまたはosteophyteなどの骨変化を認めた。また, 12関節中5関節で円板が描出不可能で, 6関節で円板は上方位に存在し, 1関節のみで非復位性前方転位であった。T2強調画像では12関節中5関節に関節腔に高信号領域を認め, そのうち1関節にのみいわゆるパンヌスと疑う像を認めた。
結論: 今回の結果から, MR画像での骨変化の描出能はX線写真像と比べて差がないと考えられた。またMR画像では軟部組織の異常を描出することができることより, MR画像は慢性関節リウマチ患者の画像診断に有用であることが示唆された。

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