心電図
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心室の壊死が反映される体表面領域
鎌倉 史郎清水 渉田口 敦史須山 和弘栗田 隆志相原 直彦
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2001 年 21 巻 3 号 p. 251-257

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抄録

心筋壊死が生じる心室分画と, 心電図変化としてそれが反映される体表面領域との対応関係を, カテーテルアブレーション (CA) で限局性壊死が作成された症例を用いて検討した, 対象は頻拍のために左室または右室にCAを施行した118例.全例でCA前と後10日以内に体表面電位図を洞調律時に記録し, QRS等電位図のSubtraction map (S-map) を1msecごとに作成した.左室を前壁, 側壁, 後壁, 前部中隔, 後部中隔のそれぞれ基部, 中央部と心尖部の計11ヵ所に, 右室を流出路部中隔, 流出路部自由壁, 中央部中隔, 中央部自由壁, 下壁基部および心尖部の計6ヵ所に分類し, 焼灼 (壊死) 分画とS-map上で電位低下の生じた体表面領域との関係を検討した.S-map上118例中96例で0.05mV以上の電位低下がCA後に認められた.その出現時相は局所が興奮する時相にほぼ一致していた.左室心尖部焼灼例では左前胸部中央やや下方で電位が低下し, 基部焼灼例ではそれを取り囲むような体表面領域 (後壁例: 背部下方, 側壁例: 背部上方, 前壁例: 左前胸部上方, 前部中隔例: そのやや右方, 後部中隔例: 右前胸部下方) で低下し, 中央部焼灼例では基部と心尖部の中間領域で電位が低下した, 一方, 右室流出路部中隔焼灼例では前胸部中央上方で, 流出路部自由壁例ではその右方, 中央部中隔と自由壁例では前胸部中央やや上方, 下壁基部例では右前胸部下方で電位が低下した, 本研究で得られた心室分画一体表面領域の対応関係に基づいて, 心筋梗塞部位や冠動脈病変部位を心電図から詳細に診断できると考えられた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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