2001 年 90 巻 8 号 p. 1457-1464
膠原病は多臓器が障害される全身性炎症性疾患であり,腎臓も高率に障害される.近年の治療法の進歩に伴い膠原病患者の生命予後が改善されたが,腎不全となり維持透析を導入する患者数はむしろ増加傾向にある.これは現状の治療法では腎病変に対する効果に限界があることを示している.近年の透析療法,腎移植の進歩はめざましく,たとえ腎不全に陥ったとしても,腎不全患者の予後やQOLは著しく改善されている.したがって,透析医療や腎移植の現状を認識し,腎機能障害を有する膠原病患者の治療方針をたてる際には透析導入までの期間を延ばすだけでなく,透析療法や腎移植までを視野に入れた長期的な予後を考慮する必要がある.