日本顎関節学会雑誌
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顎関節関節円板の急激な復位に伴って船酔い様症状を呈した顎関節内障の1症例
西川 悟郎皆木 省吾佐藤 隆志夏秋 信邦原 哲也島村 政行
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キーワード: 顎関節, 耳症状, 関節円板
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2001 年 13 巻 1 号 p. 28-31

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抄録

顎関節の異常と耳症状との関連については, 現在のところ, 両者の関連性の有無を結論づける報告はみられない。近年, 蝶下顎靱帯と前槌骨靱帯を結ぶ線維性の組織が存在することが報告され, この組織を介して顎関節と耳症状とが関連を示す可能性が再認識されつつあるが, これらの関係は現時点においては十分に解明されているとはいえない。
本論文では, 前外方転位した顎関節関節円板の復位によって船酔い様症状が誘発された症例を経験したので報告する。本症例においては, 関節円板の急激な位置的変化とそれに伴う周囲組織の変化以外には, 船酔い様症状の原因となりうるものが見いだせず, 結果的に本症例は顎関節の状態と耳関連症状との関連性の存在を支持する症例であると推察される。

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