四国東端部の徳島平野に分布する中央構造線活断層系の鳴門南断層と板野断層について, その活動履歴を調査した.両断層は狭義の中央構造線と一致し, 基盤岩の落差は南落ち1,000 m以上に達する.鳴門南断層の上下方向の平均変位速度は約1 m/千年である.鳴門南断層の段関・大代トレンチでは, 撓曲変形による傾斜不整合から4回のイベントを推定した.また, 板野断層の川端Bトレンチでは, 地層と断層の切断・被覆関係などから3回のイベントを推定した.これらの調査結果と既存資料に基づいて, 四国東部では鳴門南断層から少なくとも三野断層までが1つの活動区(四国東部セグメント)をなすと考えられる.その最新の断層活動は16世紀以降, 1つ前の断層活動は紀元前後と推定される.著者らは, 断層の平面形態から, 四国東部セグメントの東端部は淡路島南方に達すると考えているが, 和歌山平野側のセグメントとの境界は今後の課題である.