2001 年 29 巻 p. 179-184
野草の生育環境を保全するためには, その生育特性を理解する必要がある。本研究では, 長野県内の休耕田に生育している, シソ科のハッカとナギナタコウジュの成立密度と生育環境条件の関連について調査した。その結果, 両在来ハーブ種とも, トラクターの走行によって形成された耕地部の微妙な凹部に集中して生育していることが確認された。これに対し, 両種がほとんど生育していなかった凸部ではヨモギが密生群落を形成していた。この結果, 両種の生育はヨモギによって影響を受けると考えられた。以上から, 休耕田において地表面の凹凸が両種の群落形成要因となることが考えられ, 凹地を形成させるという簡易な手法でハーブを生育する環境を保全できることが示唆された。