第四紀研究
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縄文~弥生時代移行期の年代を考える
問題と展望
今村 峯雄
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2001 年 40 巻 6 号 p. 509-516

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抄録

多くの教科書では,弥生時代の開始は300BCとして記されていが,その根拠は必ずしも明確ではない.本稿では,14C年代からみた縄文時代晩期から弥生時代への移行期の絶対年代について考察する.これまで,14C年代測定された縄文時代晩期から弥生時代にかけての遺跡は非常に少なく,そのほとんどが高精度AMS14C測定以前のもので,誤差が大きいこと,しかもそのかなりのデータは資料選択の不適性さ,遺跡の撹乱などの可能性があり,問題が多いことがわかる.これまでの少数の14C年代測定例からみると,縄文時代晩期と弥生時代の画期は750BC~400BCにある.この時期は,14C濃度がほとんど変化しない特異な時期にあたっており,実年代を精度よく求めることが難しい.今後,測定数を集中的に増加させるとともに,年輪試料を用いた14Cウイグル・マッチングなどの高精度測定への取り組みが要請される.

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