日本皮膚科学会雑誌
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生涯教育講座
SLE
神田 奈緒子
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2001 年 111 巻 10 号 p. 1471-1475

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抄録

SLEは多彩な皮膚症状,臓器症状,異常検査所見を呈する全身性自己免疫疾患である.皮膚症状にはLEに特異的な皮疹と,LEに特異的ではないが多くの膠原病に共通して出現する非特異的皮膚症状があり,皮膚病変の解析は,SLEの早期診断や予後の判定に有用である.SLE患者血清には抗DNA抗体,抗U1 RNP抗体,抗Sm抗体,抗SS-A抗体,抗SS-B抗体など多種の自己抗体が検出され,あるものは臨床症状と相関し,予後判定の指標となる.近年,自己抗体に対応する自己抗原が明らかにされてきている.SLEの発症には,T,B細胞両系にわたる自己抗原に対するトレランスの破綻やサイトカイン系の異常が関与している.SLEの治療に際しては,患者の病態を的確に把握し,副腎皮質ホルモンなどの免疫抑制剤の全身投与が必要な症例を見極めることが大切である.抗リン脂質抗体症候群はSLEに合併することがあり,抗凝固療法の併用を要する.

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