日本補綴歯科学会雑誌
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RI撮像時における頭位前屈が咽頭腔形態に及ぼす影響
猪子 芳美高橋 史大沼 智之森田 修己佐々木 善彦土持 眞
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2002 年 46 巻 1 号 p. 28-33

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抄録

目的: 閉塞型睡眠時無呼吸症候群の歯科的治療に用いられる口腔内装置の有用性は報告されているが, 治療効果の判定や効果の予測のために本装置の中咽頭軟組織に及ぼす影響については, 磁気共鳴像 (MRI) 学的に十分に明らかにされていない. そこで本研究は, MRI撮像時の頭位前屈が咽頭腔形態に及ぼす影響をMRI画像によって検討したものである.
方法: 被験者は, いびきを認めない健常者16名とした. MRI撮像は, 厚さ1cmのアクリル板を後頭部に2, 4, 6, 8枚介在させた4頭位 (H2, H4, H6, H8) とアクリル板を介在させない頭位 (H0) について行った. 咽頭腔矢状面形態の測定は, 前後径3カ所 (後鼻棘後方, 口蓋垂後方, 舌根部後方) と面積をMRI画像から求めた. 分析は, H0の値を1としたときの各頭位における比率を求め, 頭位を要因とする反復測定分散分析を用い, 各頭位間の検定を行った.
結果: MRI矢状面において咽頭腔面積, 咽頭腔の後鼻棘後方前後径および口蓋垂後方前後径では, 有意な差は認められなかった. しかし, 咽頭腔の舌根部後方前後径において有意差が認められた. 舌根部後方前後径は, 頭位H6およびH8で頭位H2およびH4に比べて有意に減少した.
結論: 以上の結果から, MRI画像による正中矢状面咽頭腔形態評価には, 頭位規制の必要性が示唆された.

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