喉頭の声門上部を合併切除する梨状陥凹癌の下咽頭部分切除において誤嚥を防止する手術法を考案した。患側の喉頭蓋と披裂部を切除後,舌骨半部を胸骨舌骨筋が付着したまま甲状軟骨と喉頭蓋軟骨に固定し喉頭蓋を再建する。胸骨舌骨筋を健側の披裂部断端に縫合して披裂部の隆起を形成する。遊離前腕皮弁を用いて,再建した声門上部を被覆し,梨状陥凹を再建する。
本手術を梨状陥凹癌T2N0例に行った。術後3週目に気切口を閉鎖し経口摂食を開始した。術後,音声は正常であった。呼吸機能も嚥下機能も良好で,呼吸困難や誤嚥は生じなかった。