日本呼吸器外科学会雑誌
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眼球摘出後25年を経て孤立性肺転移を来たした脈絡膜悪性黒色腫の1切除例
枝園 忠彦前田 宏也高尾 智也山本 寛斉宇高 徹総大屋 崇
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2002 年 16 巻 5 号 p. 635-639

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抄録

悪性黒色腫は皮膚, リンパ節, 肺, 肝などに転移するため予後不良の疾患とされ, また遅発性の転移を認めることも報告されている.
今回我々は, 眼球摘出後25年を経過して肺転移を来たした脈絡膜悪性黒色腫の症例を経験したので報告する.症例は65歳男性で, 1975年に脈絡膜悪性黒色腫にて右眼球摘出術をうけた.2000年9月, 検診にて左下肺野に異常陰影を指摘され当院受診となった.胸部CTにて左上葉舌区 (S5) に孤立性の腫瘍陰影を認め, CTガイド下に行った経皮的穿刺吸引細胞診の結果, 悪性黒色腫の診断に至った.これに対し左上葉切除術を施行した.病理組織検査にて葉気管支間リンパ節および葉気管支周囲リンパ節に転移を認めた.術後8ヶ月の現在再発を認めていない.悪性黒色腫の既往を持つ患者に対しては, 転移を念頭においた長期の経過観察が必要であり, 転移を早期に発見し積極的治療を行うことが有用であると感じた.

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