日本養豚学会誌
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核酸関連物質含量による豚肉の鮮度判定
堀内 篤知久 幹夫河原崎 達雄赤松 裕久鈴木 清一樫尾 進
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2002 年 39 巻 3 号 p. 200-208

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抄録

豚肉の鮮度を予測するため, 保存期間における各種核酸関連物質の推移を調査検討した。次にその予測式を用いて履歴の不明な市販の国産肉および輸入肉の核酸関連物質含量による鮮度判定を試みた。核酸関連物質としてはアデノシン三リン酸 (ATP), アデノシンニリン酸 (ADP), アデノシン一リン酸 (AMP), イノシン酸 (IMP), イノシン (HxR), ヒポキサンチン (Hx) についてその含量を測定した。保存期間中における核酸関連物質の調査は, 三元交雑豚12頭, デュロック種8頭を用いて行った。保存期間中におけるATP, ADPおよびAMP含量は0.2μmoles/g前後で推移し, と殺後1日から18日目で変化が少なかった。一方, IMP含量は, と殺1日目で最高濃度を示し保存日数とともに減少し, HxRおよびHx含量は経過時間とともに増加した。魚肉の鮮度指標としてK値が用いられるが, 豚肉においてはATP, ADPおよびAMPの変化が少なく, IMP, HxRおよびHxの和に対するHxRとHxの百分率で算出した修正K値 (mK値) の方が鮮度の指標として好ましいと考えられた。保存日数とmK値に正の相関 (P<0.001) が認められ, mK値と保存日数の関係から次式を得た。y(d)=-0.811+0.033mk(%)+0.003mk(%)2(R2=0.881)…((1)式) 市販肉のIMP含量は国産豚肉で4.20μmoles/g, アメリカ産輸入豚肉で1.55μmoles/gと国産豚肉で高く, HxR, Hx含量およびmK値は輸入豚肉で高かった (P<0.001)。試みに, 購入した国産豚肉と輸入豚肉が4℃に保存されていたと仮定し, それらの肉の保存日数を回帰式 (式 (1)) により推定すると, 国産豚肉で3~14日, 輸入豚肉で18~25日であった。

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