2002 年 45 巻 11 号 p. 797-802
症例は71歳男性糖尿病患者. 合併した全身性の乾癬様の紅皮症に対し, 外用および経口のステロイド剤治療が行われた, 通院・服薬コンプライアンス不良で, 高血糖状態が続いた, 明らかな受傷歴なしに発熱と下肢の多発筋肉内膿瘍を発症, 歩行困難となり緊急入院した. 入院後は抗生剤による保存的治療で膿瘍は軽快したが, その後, 発熱と右季肋部痛が出現, 血液培養からはC.albicansが検出された. 腹部エコーで胆嚢炎が疑われ, 眼底検査では真菌性眼内炎と思われる所見を認めた. FIuc0naz0le, Vancomycin, lmipenem併用により腎機能は悪化したものの感染は軽快した.
糖尿病患者は経験的に易感染性があると考えられており, ステロイド外用はカンジダなどの皮膚真菌感染症を助長すると考えられる, 皮膚疾患を合併した糖尿病患者では破綻した皮膚局面が細菌や真菌のエントリー・サイトとなり, 本例のことく重篤な感染症を起こす可能性があるため十分な管理が必要である.