日本細菌学雑誌
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嫌気性菌の多剤排出ポンプ
池田 健宮前 真上田 青海吉村 文信
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2002 年 57 巻 4 号 p. 607-617

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抄録

細菌の多剤排出ポンプは, 菌体内に侵入した構造の異なる種々の薬剤 (異物) を能動的に菌体外に排出する装置で, 大腸菌や緑膿菌などの多剤耐性株を用いて盛んに研究されてきた。このようなポンプが偏性嫌気性菌にも存在していることが最近明らかになった。嫌気性菌感染症の代表的な原因菌 Bacteroides 属にはMATEファミリーに属するBexAポンプ, 歯周病の原因菌として注目されている黒色色素産生性グラム陰性偏性嫌気性桿菌 Porphyromonas gingivalis にはRNDファミリーに属するXepBポンプが存在する。これらのポンプの駆動力は水素イオンの電気化学ポテンシャルに依存している。自然界での基質は不明であるが, 多剤排出ポンプが嫌気性菌の細胞中にも多数存在して, 多剤耐性に寄与しているようである。

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