2002 年 63 巻 9 号 p. 2098-2101
術中に局在が不明確と予測される肺野小型病変に対し,診断または治療目的のために,術前にCTガイド下に金属コイルを留置する肺手術を開発し,その有用性と問題点に対する工夫を行ってきた. 1989年転移性肺腫瘍に血管留置用金属コイルを留置したのが1例目で,術中コイルを触知することによって部位を同定し,以降これを含めて14例に肺部分切除を行った.しかし,これらの症例中コイルの脱落や肺内深部のためコイルを触知しなかった症例を経験したため,コイルの脱落防止と牽引を目的に, 1998年からはコイルの両端にナイロン糸を付けて,留置の際にナイロン糸の一端を胸壁に固定する方法に変更した.術中その糸を牽引して,部分切除を16例に行った.このナイロン糸付きコイル留置法は病変の局在診断のみならず,牽引手段としても極めて有用であった.