日本皮膚科学会雑誌
Online ISSN : 1346-8146
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原著
毛髪皮内潜行症
中川 浩一結城 泰子水野 信之前川 直輝石井 正光
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ジャーナル 認証あり

2003 年 113 巻 3 号 p. 289-294

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抄録

患者:31歳,女性.初診の1週間ほど前から,左鼠径部に線状の紅斑が出現した.紅斑は次第に腰部の方に伸長し,当科初診時には約14 cmの長さになっていた.幼虫爬行症を疑い,紅斑先端部を含めた広範な皮膚を切除したが,皮内からは毛髪が発見された.同様の症例を検索したところ,本邦で10例,海外で3例が渉猟された.本邦報告例の内,6例は鼠径部付近から,腸骨稜へ伸長する紅斑で,抜去毛の数倍の長さを呈した.また,これらの症例では,いずれも毛髪を透見できず,幼虫爬行症の鑑別診断として,極めて重要であると結論した.

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© 2003 日本皮膚科学会
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