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酸素安定同位体比から見た新潟県における近年の降水と河川水の特徴
狩野 直樹藍原 弘行小島 令竹内 香代子佐藤 明史今泉 洋
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2003 年 52 巻 2 号 p. 65-80

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抄録

新潟県の降水および河川水中の酸素安定同位体比 (δ18O) を1999年~2002年まで測定した。δ18O値の測定は, 安定同位体比測定用質量分析装置を用いて行われた。その結果, 以下のことが明らかになった。 (1) 降水におけるδ18O値の平均値は-9%。程度であり, 季節によって±7脇程度の変動を示す, (2) 新潟県内の各地点 (9観測地点) において, 同位体比の季節変動は, 互いに似た挙動を示す, (3) 降水におけるδ18O値は, 6月および1月において小さく, 8月において大きい, (4) 1月において, 降水のδ18O値と温度との間の相関関係が1年中で最も顕著に見られる, (5) 冬期における降水のδ18O値の変動幅は, 他の季節より小さい, (6) 新潟県の河川水におけるδ18O値の平均値は, -11%。~-10‰程度であり, 年間を通して大きな変動は見られなかった (±2‰程度) , (7) 河川水中のδ18O値は, 融雪水や降水が河川水中に流入するときに変動しうる, (8) 地下水中のδ18O値の変動幅は, 河川水に比べて小さい。

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