人工臓器
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HD, HDFにおける透析液再循環の効果
峰島 三千男田中 秀実山下 明泰酒井 清孝西本 裕美子前田 憲志
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1982 年 11 巻 4 号 p. 834-839

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抄録

ダイアライザー内での水および溶質の物質移動を促進するため, 透析液再循環方式 (RSP) を適用した. この方式では透析液流量を増大させることによって透析液側境膜物質移動抵抗が小さくなり, 偏流も是正されて有効膜面積が増大することが期待される. 一方, 再循環によって血液-透析液濃度推進力は減少するという欠点も同時に持ち合わせており, この両者のかねあいがRSPの性能を決定していると考えられる. そこで今回, RSPの治療効果を定量的に表わす指標として, 同一治療条件下でのsingle pass (SP)方式に対する除去量比Rを導入し, HD, HDFについて検討した. この結果, RSP-HDは比較的分子量の大きい溶質の除去に有効で, 個々の溶質, ダイアライザーごとに最適循環透析液流量が存在することがわかった. 一方, RSP-HDFではbulk flowの影響により透析液再循環の効果は軽減される結果となった.

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© 一般社団法人 日本人工臓器学会
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